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2014年9月 5日 (金)

海水魚業界市場規模を再び探る

かなり前の話になりますが、「海水魚業界の市場規模を探る」という記事をエントリーしたことがありました(調べてみたら2006年7月のUPで、もう8年も前です・・・サッカーW杯ドイツ大会の頃・古っ^^;)。以来、何度か第二弾をUPしようと思ったこともありましたが、参考となるような新しい資料の発表がほとんどなかったこともり、そのままズルズルと月日(それも8年^^;)が経過しておりました。

しかしながら、昨今のシンクタンクの各種発表資料や、業界関連誌が相次いで休刊となる状況等をみるに、業界を取り巻く環境は一体どこまで悪化しているのかについてそろそろ再度調査してみようと、ようやく思い立った次第です(と、もっともらしいことを申し上げてはおりますが、要するに単なる気まぐれです^^;)。

さて、調査に際して相変わらずですが、そのものズバリ!といった資料がない(無論、お金を出せばいくらでも入手可能と思われますので、あくまで無料の範囲での話です)ことに加え、前回記事UPの時に参考にさせていただいたデータの更新が途絶えている等(^^;今回も調査はかなり往生しました。

そのような中、前回も使用させていただいた、ペットフード工業会農水省の調査による「ペットフード産業実態調査」の平成24年度版(発表は平成25年12月ですので最新のものでしょう)を発見、他の年度の同資料も併せて調査したところ、観賞魚(「海水魚」ではありません、念のため)用フードの出荷量は以下の通りの推移となっていました。

平成15年 出荷量 8,745t(前年比101.0%)  出荷額 2,364百万円 PDF
平成18年 出荷量 8,260t(前年比  97.5%) 出荷額 3,655百万円 PDF
平成21年 出荷量 8,434t(前年比  97.4%) 出荷額 5,463百万円 PDF
平成24年 出荷量 7,706t(前年比  96.2%) 出荷額 4,535百万円 PDF

若干の凹凸はありますが、このデータから出荷量自体は減少傾向にあると言えますし、実際、平成15年度(ちょうどニモブームあたり?)と比較すると約12%もの減少となっています。しかし、その一方で出荷額は直近数値こそ減少していますが、出荷量と同じく平成15年と比画した場合、こちらは大幅に増加しており、正直、相関関係がよくわからないところです(データ集計方法等も関わってくるとは思います)。ただ、この数値を見る限り、一方的に業界が縮小しているとは言えないのではないか、とも思えます。

次に、野生社さんが出していらっしゃる「PETS REVIEW」2013年12月号において、取扱業者数の過去4年推移が掲載されており、これによると、海水魚生体を取り扱う店の数は以下の通りです。

2010年 2,271
2011年 2,193
2012年 2,184
2013年 2,163(注:文末に付記した通り、本数値はサイト管理者のミスによる間違いです)

しかし、このデータについても前回UP時にご紹介した、環境省「観賞魚の市場規模業界(推定)」(PDF)における海水魚取扱店舗数600かなり乖離しており、データの取り方の相違等もあろうかと思われます(これを考慮したとしても、3倍以上の開きってどうかと^^;)が、とにかく減少傾向にあることは間違いないでしょう。

さらに富士経済さんによる「国内ペット関連市場」調査レポートにおいて、詳細数値は有料版でしか見れないためわかりませんが、2012年度のレポート文中「100億円規模の市場を形成する観賞魚用の水槽・周辺器具が震災や原発事故の影響で縮小を加速させ、2011年は前年比二桁減となった」との記述があることに加え、直近レポートにおいても「小鳥・観賞鳥、観賞魚、小動物のフード市場は微減」となっていますので、用品まで加えた市場も減少傾向と思われます。

このような中、観賞魚(繰り返しますが「海水魚」ではありません)業界に一筋の光明が!
それは、こちらもやっぱり前回記事でご紹介した内閣府による「動物愛護に関する世論調査」という調査です。前回は平成15年度版をご紹介しましたが、その後平成22年度に再度調査が実施されていますので、今となってはやや古いデータではありますが、以下にご紹介します。

ペット飼育割合   H15年度 36.6% → H22年度 34.3%
観賞魚飼育割合 H15年度 11.7% → H22年度 19.4%

全体のペット飼育割合が減少している中、観賞魚は逆に上昇!よって、日本における観賞魚飼育割合は、

H15年度 36.6% × 11.7% = 4.28%
H22年度 34.3% × 19.4% = 6.67%

と約2.5%もの伸びを示す形に!ただ、惜しむらくは、これが震災発表前のデータという点。
上記富士経済さんの調査にもある通り、震災後観賞魚飼育をやめてしまった人も相応に存在するものと推測されますので、実体は横這い~よくて微増といったところでしょうか。

また、これも前回同様、国勢調査に基づく世帯数(平成22年度調査では約5,200万世帯)に当てはめてみると、

5,200万世帯 × 6.67% = 347万世帯

となり、前回記事(214万世帯)より何と130万世帯も増加していることになってしまいますが、この間はリーマンショック等に伴う不況が本格化していた時期でもあり、はたしてここまで増えるものかと懐疑的にならざるを得ません。さらに、上記「動物愛護に関する世論調査」はあくまでアンケートを基にしたデータですので、必ずしも実状を表しているとも言い切れず、自分の実感としても増えているとはとても思えないので、このあたりは極めて微妙です。ちなみに、平成15年の国勢調査では世帯数が約5,000万でしたが、平成22年度調査では約5,200万。人口減少が続く我が国においては、この200万の増加分は単に「世帯の細分化」が表れているだけにすぎず、飼育世帯増加とリンクしないことは自明の理でしょう。

何やら全般的に否定的な見解となってしまいましたが、サイト管理者自身は威勢の良い数値を出して業界を盛り上げたい、というのが本音です。ただ、手放しで喜べるようなデータがない、ということも事実であり、もどかしい状態であることをご理解いただければ幸いです。

という訳で、いろいろとデータをご紹介してまいりましたが、観賞魚業界という括りで見た場合(あくまで紹介データ上ではありますが)マイナス要素:2(出荷量・取扱店舗数)/プラス要素2(出荷額・飼育世帯)と拮抗した結果となりました。ただし、プラス要素はどちらも?マーク付きですので、実際はやはりマイナス要素の方が大きいことが推認されます。

当ブログは海水魚関連がテーマですから、本来はこれを基に海水魚業界を類推すべきですが、とりあえず今回はここで体力が尽きてしまいました(^^;不完全燃焼で申し訳ありませんが、また別の機会に。

※追記:訂正とお詫び

本記事における海水魚取扱業者数ですが、サイト管理者の資料引用ミスであることが判明しました。

ここに謹んで以下の通り訂正させていただきます。

2010年 991
2011年 968
2012年 954
2013年 945

9月 5, 2014 その他 |

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