« 海水魚情報 今週の気になる入荷 | トップページ | 海水魚ショップ情報 コーラルインク(新規オープン) »

2006年7月 4日 (火)

海水魚業界市場規模を探る

本日は若干趣向を変えまして、海水魚業界の市場規模を探ってみたいと思います。
なぜ今業界の市場規模か?と問われましても自分でもわかりません(^^;ただ、調べてみようと思い立っただけで単なる気まぐれです(^^;なお、かなりの長文になってしまいますのでご容赦の程お願いいたします。

さて、いざ、市場規模に関する資料をいろいろ探してみると、なかなか「そのものズバリ」というものがない、ということがまず判明しました(^^;そんな中、環境省に掲載されている「観賞魚の市場規模業界(推定)」(PDF)を発見、同資料によると、少しデータは古いですが、平成14年度観賞魚業界の総市場規模が約725億円であったことがわかります(ピークは平成6年度の1,400億円、ここから半減してしまっていますね)。ちなみにその内訳も出ておりまして、生体関連で235億円、器具関連で490億円です。

ご存知のとおり、ペット産業自体は今や1兆円を超える巨大産業に成長しているので、観賞魚が占める割合は10%未満と微々たるものです(2005年度は1兆6千億といわれ、比率的には犬猫関連が大半で、年々観賞魚の比率は縮小していると言えそうです)。とにかく、この後これといったデータは公には出ていないと思います(もしあったらごめんなさい)ので、最近の市場規模はこれを基に類推するより他ないということになります。

市場規模を類推するにあたり、第一番目に直近の規模を推測しなければなりませんが、「最近特に観賞魚業界に追い風が吹いている」という特殊要因等はないと思われます(一時的な「ニモ」ブーム等はありましたが・・・)ので、まず観賞魚業界の全体市場規模については、ほぼ横這いと推測します。ペットフード工業会農水省の調査による「平成16年度ペットフード産業実態調査」(PDF)が発表されていますが、観賞魚関連フードに関しては、ここ数年はほぼ横這い推移を辿っており、この推測が決して見当違いではないということを裏付けていると思います。

よって、少々乱暴ではありますが、観賞魚業界全体の現在の市場規模をザックリ750億円と仮定します。
ここから今度は、淡水と海水の比率を割り出さなければなりませんが、これも正式なデータ等はなく、類推せざるを得ません。これを推し量る一つのデータとして、上記環境省データ中に熱帯魚・海水魚取扱店舗数(注:量販店も含んでいます)が掲載されており、それぞれ2000店・600店となっております。この他金魚・錦鯉取扱店舗も2700店あり、これを熱帯魚取扱店サイド(=淡水関連)に含めると4,700店となります。この数値は平均すると1県あたり約100店となり、あながち外れている数字ではないレベルです。

さて、この数値について、そのまま淡水・海水の比率を店舗数で割り出した場合、4,700:600=約8:1(約11%)となります。これを先程の全体市場規模750億円に当てはめると、海水魚の市場規模は約83億円となりますが、これでは小さすぎてあまり現実的ではありません。そこで、「(生体における)海水魚は3分の1以下」(IBPC大阪)という数値(=30%程度と想定)や、こと器具に関しては海水魚の方が高額であるというような事実を踏まえ、これを考慮した「約25%程度」くらいが妥当かと考えられます。つまり、市場全体の4分の1程度は海水魚関連市場として確保されていると想定されることになる訳です。実際に数字に落とし込んでみると750億円の4分の1=約188億円、これに書籍等その他関連商材を含め、結果200億円程度が現状の市場規模ではないかとの結論が導き出されます。

ちなみに、この類推値200億円を店舗総数である600店で除した数字は約3,300万円。あくまで単純な平均値ではありますが、1店舗あたり1日10万前後の売上となります。もちろん店舗規模の大小や販売体制の強弱等ありますので一概には言えませんが、そこそこ妥当な水準と言えるのではないでしょうか?

なお、注意点として、上記市場規模にいわゆる「メンテナンス関連」が含まれているかどうかはわかりませんし、時折見られる「海水魚水槽のリース」等も同様です(90センチクラスのリースで月額5・6万円と決して安価ではありません)。また、「多様な器具利用による電気代効果」も実際は無視できないと思います。「メタハラ多灯+クーラー」等の電気代は、あくまで一般的にですが、平均的なペットを飼育するよりはるかに高くなっているはずであり、全体としては相当な数字になっていると推測されます。
もし、こういった要素が含まれていないとすると、海水魚関連の市場規模は実態的にはもう少し大きく、年間200億~300億円程度、と言ってもいいでしょう(この「300億円」という数字を他業界と比較すると、オンラインゲーム市場やアフィリエイト市場と同規模程度、ということになります)。

また、海水魚飼育人口についてですが、これもはっきりした数字があるわけではなく類推するより他ありません。これについてまず最初の手掛かりとなるのは、平成15年度に内閣府が行った「動物愛護に関する世論調査」という調査です。
同調査結果中に「飼育しているペットの種類」という項目があり、「何かを飼っている」と回答した世帯は36.6%ありました。さらに「飼っているペットの種類」の問いに対して「魚」は11.7%となっています。
これを平成17年度に行われた国勢調査世帯総数約5,000万世帯にあてはめると、

世帯数5,000万×飼育割合36.6%×魚飼育割合11.7%=約214万世帯

となります。これに、先程の「4分の1」を掛け合わせると、約50万世帯が海水魚関連飼育者ではないかと推測されます。なお、この50万世帯を基に計算すると、1世帯あたりの年間支出額は4~6万円となり、やや少ないと感じられるかもしれませんが、平均値かつ電気代等は含まれていないので、これもまずまず妥当なレベルではないかと推測されます。(但し、本データにも異説があり、平成15年度環境省中央環境審議会野生生物部会第5回移入種対策小委員会会議録における日本観賞魚振興会大野氏の発言の中で「金魚の飼育者が全世帯の約16%ぐらい、熱帯魚に関しては大体3%前後」という箇所があり、これに当てはめると海水魚飼育世帯はさらに少ないということになります)

<分析結果サマリ>
・海水魚関連業界市場規模:200~300億円
・海水魚飼育世帯数:約50万世帯(▲25%程度の下振れ余地あり)

以上、ここまで「勝手に」類推してきましたが、いちおうは政府公表数字に基づく分析を行っており、全然当たっていない、ということはないと思います(思い切りはずしていても、それはそれで笑ってください^^;)。当たらずとも遠からず、といったレベルにはなっているのではないかと。

いずれにせよ、最新調査報告が待たれるところです。まあ、市場規模等が判明したところで「だからどうなんだ?」と言われればそれまでですがやっぱり自分の関わっている業界って、多少はいろいろと知りたくなりますよね???

7月 4, 2006 その他 |

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 海水魚業界市場規模を探る:

コメント

これはすごい分析ですね!
参考になります。

投稿: うんちゃん | 2006/07/05 1:56:10

本当にすごい
マニアックな業界は
数値が出にくいですよね

情報収集・分析・解析
大変だっでしょう
お疲れ様です

これからも期待しております

投稿: yosia | 2006/07/05 20:21:19

うんちゃんさん、ありがとうございます!
正しいかどうかはわかりませんけど(^^;

yosiaさん、いつもどうもです!
アクア業界全般にずっと元気がないので、何か起爆剤になるものが出ればいいんですけどね。。。市場が最盛期の2分の1ですから、盛り返しを期待したいところです。

投稿: サイト管理者 | 2006/07/05 21:33:09

コメントを書く